新年のあいさつや誕生日おめでとうのやり取りは、絶好の近状報告チャンスだ。
今年のあけおめ合戦も案の定、近状報告会となり、「2人目妊娠した」「もうすぐ出産」などの幸せな報告がいくつかあった。
結婚も妊娠も出産もしたことのない私は、一体どう彼女たちに接したらいいのか悩んでいた時期があった。
「おめでとう!」「楽しみだね!」
……送る言葉が圧倒的に足りない。
超絶センシティブかつ、超絶プライベートなおめでた報告に対し、どういう言葉を贈るのがベターなのか。
今となっては接点がほとんどない知人になってしまった彼女たちに、どう言葉をかけたらいいのだろうかと考えていた。
そうだ。出産とか子育てのエッセイを当たろう。そうしたら、彼女たちの気持ちが分かるかもしれない。かけるべき言葉も分かるかもしれない。
そう思って、川上未映子さんの「きみは赤ちゃん」を読んだ。
ほとんど本を読まない私が完読するくらい読みやすい
私は普段本を全然読まないのですが、まあ、驚くほど読みやすい。川上さんって、私の友達?くらいの距離感で語りかけてくる。そして、この本は泣けてしまうのだ。ライトな語り口からは想像できないほどの愛に泣けてしまう。電車で読もうものなら、涙は堪えなくてはならない。
こんな人におすすめ
普段全然本を読まないという方。妊婦とか出産とか子育てがよくわかっていないけど、周りにそういう人増えてきたという方。妻が妊娠した旦那さま。
書かれていることが赤裸々なため、妊婦さんや出産後の方もモヤモヤデトックス的な読み物なのではないかと思います。(ここら辺は想像の域を出ません。すみません。)
「きみは赤ちゃん」で分かったこと
この本を読んでわかったことは、『出産も、出産後もまじで大変で、母親が抱えている子に対する不安やプレッシャーは計り知れない。想像しても、人の話を聞いても、その実態は母親になった人以外に理解することは難しい』ということだった。
想像したり、想定していた以上のことが日々起きるらしい。
母、リスペクト。
結婚すらしていない私が、妊娠や子育てをしている友達に言える気の利いた言葉はなく、「おめでとう!」「楽しみだね!」以上に言えることはない。
私が出来ることは、電車でマタニティキーホルダーを付けた妊婦さんに電車で席を譲ること、子どもと一緒に電車に乗っている人に席を譲ることで、「ペイフォワード」的に、距離感のある友達と同じような状況にある知らない人に「まじで大変だということは何となくしか分かっていなくて恐れ多いのですが、今私はこの席を譲ることができるので、よかったら座ってください!!!!」とお疲れ様です!!!という気持ちを渡すことなんだろうと思った。
まとめ
どうやら女の人生は大変だ。でも、だからこそ味わえることもあるようだ。そして、それはとても幸せなことらしい。
不安とプレッシャーにさらされている妊娠中、子育て中の友達に贈る言葉は、新しい命、無事に育っていく命に対しての祝福だ。それ以外にない。
子の命を必死で守る友達の戦いに対してのねぎらいは、経験があれば適切な言葉や具体的な言葉があるのだろうけど、経験がないなら、そういう状況の知らない人に渡したらいい。
私の母親もこんな感じだったのかな。ありがたい話だ。母親が「本当にかわいかった」とまだ小さかった私の話を時折してくることがあるが、それはとても幸せなことだったからだろうなと思う。一人の女性として母親をリスペクトしたい。